GSユアサ創業者の島津源蔵が実際に通勤に使用していた、100年前の電気自動車「デトロイト号」。本社ロビーで展示しております。
―本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。まず貴社の事業についてお聞かせください。
今道:
当社は世界屈指の技術を持つ総合二次電池メーカーです。 みなさんに最も身近な製品としてはバイク用・自動車用の鉛蓄電池で、バイク用鉛蓄電池は世界一位、自動車用鉛蓄電池は世界二位のシェアを誇っております。 近年、電気自動車などで話題となっているリチウムイオン電池も当社が世界で初めて量産化に成功する等、「蓄電池」という製品で世界を支えている会社です。 当社のキャッチフレーズは『深海から宇宙まで』で、有人潜水調査船の「しんかい6500」や「国際宇宙ステーション」に搭載されており、高い信頼性が当社の蓄電池の特長となっています。
―ありがとうございます。続きまして、御社の雰囲気についてお話を聞かせていただきたい。
就活の際は様々な企業の会社説明会に参加しましたが、GSユアサの説明会や懇談会でお会いした方々は皆さん温かく穏やかな方が多い会社だという印象を受けました。また、入社後は、社員同士が仲良く話している姿を見たり、先輩社員との交流を通して感じることは、非常に風通しが良く、職場環境の良い会社だなと感じています。入社前に感じたままの良い環境、良い雰囲気の中で働いております。 このような風通しの良さが、有給取得率の高さや、「プラチナくるみん」、「なでしこ銘柄」の認定につながっていると感じております。 現在、私が所属する部署では、有給休暇取得のためのスケジュール調整もしやすいため、仕事とプライベートともに充実した毎日を過ごしています。
―ありがとうございます。続きまして、御社の製品は日常のどのようなところにかかわっているのでしょうか。
目に触れる身近なところでは、日常の移動手段である自動車・バイクに当社の蓄電池が搭載されています。目に触れにくいところでは、電車やフォークリフトなどに当社の蓄電池が搭載されております。その他には、カーナビなどの位置情報を取得する衛星にも当社の蓄電池が搭載されており、陰ながら皆さんの生活を支えています。 このように日常の様々なシーンでGSユアサの蓄電池が活躍しています。
―ありがとうございます。では続きまして、ロケット用電池について、どのような部分で活躍している電池なのでしょうか。また、どのような特徴があるのでしょうか。
当社では、二種類の蓄電池をロケット向けに製造しています。 まず、一つ目が「熱電池」です。こちらの搭載事例としては、「H-ⅡA、H-ⅡBロケット、イプシロンロケット」となります。こちらの特長としては、ロケット発射時の電気信号を受けて発火し、内部が高温になって電解質が解けることで「瞬時に大きな電力を発する」ことです。 二つ目は、「ロケット用リチウムイオン電池」です。 この電池は、打ち上げられてから、宇宙空間まで運ぶ間の機器を動かす唯一の電源として使用されています。こちらの特長としては、過酷な振動や衝撃に耐え、安定した性能を要求されている蓄電池になります。
―ありがとうございます。続きまして、HPの「welcome to GSyuasa」に社会インフラを支える電池とありますが、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか。
今回は2つのことについてご紹介しようと思います。 まず1つ目が、「非常時のバックアップ用蓄電池・電源システム」です。 災害大国といわれる日本ですので、もはや災害のリスクは常に身近にあり、災害による電力の遮断は、被害をさらに深刻化させる大きな問題となります。そのため、当社の蓄電池は災害時に電力が必要不可欠な施設に納品されており、災害時の電力供給を行っています。具体的には、通信基地局をバックアップすることで災害時の連絡が途切れないようにしたり、データセンターをバックアップすることで皆さんが預けているデータが消失することを防いだりしています。その他にも、海洋や河川の観測装置など災害の最前線で使用される機器だけでなく、コンビニエンスストアのレジやATM、病院や東京タワーの身近な施設のバックアップにも活用されています。 2つ目は、「常時使う電力を蓄える蓄電池の使い方」です。 人口増加や経済成長に伴い、世界のエネルギー需要が増大しており、石油や石炭など限りある化石燃料に代わり、再生可能エネルギーの利用拡大が求められています。再生可能エネルギーである風力発電や太陽光発電によるエネルギーを有効活用するためには、天候に左右されず発電電力を安定供給する蓄電システムの導入が不可欠です。具体的な使われ方としては、発電量が大きい場合は蓄電池に充電し、発電量が少ない時は蓄電池に蓄えた電力を供給することで使用電力の平準化を行います。この分野における蓄電池の市場は急速に拡大しており、2019年時点で日本の年間発電量に占める再生可能エネルギーの割合は18%でしたが、2050年にはその割合は50%に達すると予測されています。納品事例を挙げますと、北海道の北豊富変電所における世界最大規模の風力発電用蓄電池システムを納入したことです。この風力発電は2023年度に稼働を開始し、稼働後20年間に渡ってGSユアサが蓄電池システムのメンテナンスを行います。 このように、非常時の備えとして社会インフラを支えているだけでなく、近年では普段使われるエネルギーを削減する目的でも蓄電池は利用され、あらゆる面で当社の製品が社会を支えています。
―ありがとうございます。続きまして、海外にも拠点があるそうですが、国内と海外の職務の違いはあるのでしょうか。
基本的には働き方は同じですが、海外の職務は、現地の統括・管理を行っています。例えば、営業での切り取り方をすると、国内の営業であれば、国内の製品を海外に輸出する仕事、運搬の調整や、海外の生産拠点に原材料を送るといった仕事をしています。これらを通して経験値を積み、海外で様々な販売会社が拠点に紐づいているので、そこから戦略や働き方を考えたりする統括といった形で働くケースが多いです。そのため、自分で実務をするのか、管理をする側なのかといった違いがあります。
―ありがとうございます。続きまして、仕事のやりがいがあるのはどのような瞬間でしょうか。
本年4月に入社し3か月過ごしてきた中でお伝えすると、業務を進める際に、入社当初よりも業務スピードが上がったなど、成長を感じる瞬間にやりがいを感じます。採用した学生が入社して、実際に3年後や5年後に「あの子は頑張っている」というお話を耳にしたときに、非常にやりがいを感じる仕事だと思います。
―ありがとうございます。続いて、働く上で心がけていること、大切にされていることはありますでしょうか。
今大切にしていることは、「疑問をもつ」ことです。業務の内容の意味や理由を知ろうと常に意識しています。ただ、業務を作業として遂行するのではなく、その業務が全体のどの部分なのかを知り、なぜこの業務をする必要があるのかということを意識しながら働いています。
―ありがとうございます。続きまして、学生時代にやっていてよかったこと、やればよかったことについてお話をきかせていただきたい。
学生時代にやっていてよかったことは「部活動やサークル活動など何かに所属する」ことです。バックグラウンドも、目標に対するモチベーションやベクトルも違うメンバーと、協力して何かを成し遂げたというという経験は貴重だなと感じています。また様々な経験を通して信頼できる仲間ができたことは一生の宝物だなと考えます。 学生時代にやっていればばよかったことは、「交友関係を広げる」ことです。 私自身の大学生活は、所属する部活動のメンバーと四六時中一緒に過ごしていました。 それも居心地がよくいい思い出ですが、固定したメンバーのみと過ごすだけではなく、それぞれの環境で、様々な友人を作ることは、今後、自身の視野が広がり、新たな価値観の発見をすることができると思います。
―ありがとうございます。続きまして、地域共生の取り組みについてお聞かせください。
こちらは国内と海外に分けて説明させていただきます。 まず、国内からお伝えすると、京都に本社を置く会社として、京都で活動されている京都サンガFCや、京都学生祭典の皆さんなどに協賛を行っています。その他には、社員が工場周辺の清掃活動を行い、地域社会と共生する取り組みを行っていたり、「環境とは何か」を考えるきっかけを目指して、GSユアサ小学生ECO絵画コンクールを開いたり、環境保全への取り組みとして屋久島環境文化財団への協賛を行っています。 次に、海外の事例についてお伝えすると、インドネシアではカラワンの消防隊に当社製の蓄電池を継続的に供給しています。 地震、津波、洪水など自然災害が多いインドネシアではカラワン県消防隊が行う災害管理活動は非常に重要な役割を担っており、継続的な蓄電池の供給を通じて消防隊の円滑な活動を支援しています。
―ありがとうございます。続きまして、環境への取り組みについてお聞かせください。
当社では環境への取り組みとして環境基本方針を定めるとともに、環境中長期計画を策定しております。環境中期計画では、CO2の排出量や、水の使用量の具体的な削減目標を掲げて取り組んでおります。長期計画では、CO2の排出量を2030年までに2018年基準で30%削減することを目指しております。このような目標を達成するために、自社工場への太陽光発電設備の導入、市場からの再生可能エネルギーの調達に取り組んでいます。また、各々の事業所やグループ会社においても、エネルギー管理体制を構築して、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みを進めています。実績としては、2021年度に京都事業所では使用するエネルギーを市場からの再生可能エネルギーで全て賄うことを達成しました。
―かなり規模が広いのに全部まかなえるのはすごいですね。
電力会社さんが再生可能エネルギー経由で発電した電気を買っているのに加え、自社で発電している部分もあります。これらで100%という形になっています。
―なるほど、すごいことですね。ありがとうございます。最後に、京都学生祭典に期待することはありますか。
京都学生祭典では、皆さんの元気な姿を見ることを楽しみにしております。当社も京都学生祭典の活動理念である、「京都を活気づけ、感動・笑顔を創出する」「京都の一員として、地域社会との繋がりを尊重する」「京都で学び、地域社会と共に魅力を広く発信する」の実現に向けた一助なれれば幸いです。
―ありがとうございます。それでは、質問事項は以上になります。