(1)御社について簡単なご紹介をお願いいたします。 月桂冠は日本酒を代表するブランドとして、古くから事業活動において創造と革新を繰り返すことで、寛永14年(1637年)の創業以来380年を越える伝統を堅持してきました。明治期以降は、清酒メーカーとして初の研究所を創設することで品質の向上を成し遂げるなど、次々と新機軸を打ち出し、市場を全国に広めていきました。昭和期には、日本で初めて年間を通じた酒造りを行う四季醸造システムを備えた酒蔵を完成、新規技術の活用と共に、伝統的な職人技を継承することで、高品質かつ多彩なアイテムの酒造りを行っています。さらに、アメリカで設立した米国月桂冠において酒造蔵を稼働させ、米国・カナダ、南米、欧州、アジアなど各地への販売を展開し、日本からの輸出との両輪で、世界SAKEの文化を広めています。 (2)新型コロナウイルスの影響で、京都学生祭典実行委員会では本祭をはじめとする行事をオンラインに変更し、オンラインだからこそできる取り組みをしてまいりました。貴社がコロナ禍で特に尽力した取り組みなどはございますか。 酒造メーカーがお役に立てる取り組みとして、消毒用のアルコールを製造し、京都市(保健福祉局ならびに子ども若者はぐくみ局を通じて、市内の高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、児童福祉施設等に配布された)のほか、医療関係者などに寄贈しました。 また社内では、手洗い等、衛生管理の徹底はもとより、テレワークを取り入れるなど感染予防対策を実施しながら、製品の醸造、容器詰、出荷などの事業を継続し、社会的な要請にこたえています。 (3)オンラインでのやりとりが主流となり、京都学生祭典実行委員会でもオンライン会議を導入したもののコミュニケーションの取り方や進行の難しさを感じております。接触を減らすという社会情勢の中、貴社内での勤務形態や会議の方法などはどのように変化しましたか。また、WEB会議をはじめ非対面式のコミュニケーションを取る上でどのようなことに気を付けているのかご教示いただけますでしょうか。 コロナ禍により、社会全体が人の往来を制御する状況の中で、会議や打ち合わせ、講座の受講を含め、当社の社内どうし、社外とのやりとり、また採用活動においても、オンラインを多用するようになっています。その中では、非対面による不便な側面をできる限り解消し、交流がより深くなるよう、また、コミュニケーションが欠如しないよう心掛けています。例えば、適宜、対面のコミュニケーションを取り入れる、紙媒体の社内誌で各部署のコロナ対応の様子を紹介し情報を共有しあうなど、諸々の施策により、全社で一体感が醸成できるよう努めています。 (4)私たちは、今年のテーマ「夢、縁(ゆか)る」をもとに様々な方との繋がりをつくろうと日々活動しております。貴社が社内外を含め様々な関係者との縁をつくりながら事業展開される上で、どのような事を心がけておられますか。また、取り組み事例をご教示いただけますでしょうか。 当社の基本理念の一項目に「HUMANITY」を掲げています。もともと、当社には全社で顔の見える家族的な雰囲気があり、事業活動においては、顧客や取引先と同時に、地域社会とのつながりを大切にする社風があります。伏見の小さな酒屋から始まった当社は、江戸期は地元の人たちや行き交う旅人たちに商っていましたが、明治期からは日本全国、さらには世界へと販路を広げるようになりました。このような現在の隆盛に至ったのは、お客様や協力会社などの取引先、そして地域社会の皆様など多くの方々のお陰であることを念頭に、現在も、創業の地の京都・伏見に本社を置き、事業活動に取り組んでいます。 (5)全国の学生に向けてメッセージをお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症の広がりにより、学生の皆様にも大きな影響が及んでいることと思います。その中では、感染への不安や、予防対策による不便、学業や学内・学外の活動がイレギュラーになったことに伴う苦労が生じているものと想像します。そのような中で、日々生活していくことは大変なことだと思います。引き続き安閑とはできない状況ですが、そんな中でも、皆様が心と身体の健康を維持していただくことを第一に、これからの学業や生活を充実させながら過ごされることを期待しています。